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☆ロシア人を締め出すIOC判断は整合性を欠くものである

 開催都市リオデジャネイロでのオリンピック競技に関わる、ロシア人陸上競技選手団に対する、所謂、世界反ドーピング機構WADAからの決断に基づく、出場停止勧告等を受けて、IOCの判断こそ数日間引き延ばされる事にはなった様だが、何れにせよ、陸上競技に関して言えば、ロシア連邦の選手団は須らくが締め出されると言う、極めて忌々しき問題が発生、事と次第に因っては、国際的政治問題へと発展する惧れさえ無しとせず、更に言えば、ロシア連邦と言う国掛かりでの作為的不祥事として、ドーピング国家の烙印すら捺されて終い兼ねないのだが、果たして、其の様な安易なる理解でロシア連邦とロシア人選手の全てを一括りにして終う事が適切で、理に適っているのかが問われる所、基より、IOCの判断こそ未だ示されてはいないが、間近に迫ったリオ五輪での停止騒ぎなど在ってはならずのもの、此処は当初の予定通りに参加出場を可能とし、通例とする入賞以上の結果判断としても問題は無く、参加が可能となる選手も去ることながら、世界で、当該オリンピック競技をあつく見守る数億人、数十億人の人々にとっても納得出来る、ロシア連邦国民の参加と、入賞者以上に対する事後のドーピング検査と判定と言う事にはなるのだろう。

 即ち、WADAの勧告を受け入れた国際陸上競技連盟の決断(ロシア連邦に対するオリンピック陸上競技出場停止処分)と、其れを不服として申し入れた、スポーツ仲裁裁判所での、不服申し立て否決の裁定は、ロシア連邦陸上競技選手団全員の出場禁止を認めて是としたもの、左すれば、国際陸上競技へのロシア連邦国民の参加は不可能となり、オリンピック競技への参加もまた否決されて当然となるのだが、此の様な形での、所謂、陸上競技全種目に関わる一国の参加をして、一刀両断に否定する手法が果たして正当性を持ち、国際司法上もまた認められるのかと言う、実体上の問題と疑問が残るのである。

 即ち、オリンピック陸上競技の総種目に関して、ロシア連邦国の競技者須らくを出場停止処分にするとの判断ではあるのだが、其れこそが、WADAに拠る”国家掛かりでの作為が認められる”と断定したが故の、国際陸連に因るWADA勧告の受け容れではあるのだろうが、そうであれば、ドーピング行為を、国家掛かりのものとして自供したと言う、所謂、複数のロシア人陸上競技者に因る証言や、状況証拠等の寄せ集め、或いは、過去に於いて蓄積されていた競技終了後に為される尿検査等に因る精密検査の結果と、保管されし検体の再調査等で、「陽性」、乃至、「禁止薬物反応在り」と出たが故の、国家総掛かりでの薬物投与に至るとする断定であり、左すればの出場停止の勧告と考えるのだが、WADAが国家総掛かりのものと断定するので有れば、何故に、陸上競技に限ってのものなのか、よしんば、国家総掛かりと断定的に裁定するのであれば、室内競技としてのレスリングや柔道、バスケットボールや競泳等々、技術や体力、或いは、精神力を要する、ありとあらゆる個人種目や団体種目等もまた、国家総掛かりなる概念としての範疇に入るのは当然のもの、陸上競技のみに絞って、ロシア連邦の選手団は国家総掛かりでの作為的ドーピングを奨励する集団である何ぞの決め付けは、誰が聞いても理解外のもので腑に落ちずのもの、陸上競技は押し並べて国家的作為性が高く、其れ以外の競技種目は、黒では無いが灰色の可能性も在る等の、所謂、国家総掛かりを因とするWADA主張が、陸上競技のみに限定して通る事自体が魔訶不思議、「国家総掛かり」がまさに正当性を持つ為には、上述せし、室内競技等にも広く及ばなければならずのもの、何十種目にも及ぶ陸上競技の、其れこそ全てに、国家総掛かりの作為を被せるのであれば、陸上競技以外の室内競技等全般にも認め、被せなければ、「国家総掛かり」なる言葉は使えない筈で在る。

 国際政治に目を転ずれば、此処暫くに亘って異端児扱いされ続けているロシア連邦が在るが、まさか、斯かる、異端児視されているロシア連邦であるが故に、斯かる問題が一気に噴出したのかとの考えにも傾斜するのだが、即ち、数年も前に保存して置いた、個人の検体である「尿」を分析、ロシア連邦の競技者(パラリンピックを含む)分の五、六百例の内、其の殆んどに禁止薬物が認められているとするものだが、何故に、リオでのオリンピックが手の届く所に迫った中での検査の押し進めであり、オリンピック間際での検査結果の公表と、スポーツ仲裁裁判所法廷の開設と判断結果等々では在ったのだろう。国際社会の常識人で有れば誰しも、基より、ロシア連邦を率いるプーチン大統領でなくとも、斯かるWADAの勧告やスポーツ仲裁裁判所に因る、異議申し立ての棄却裁定に対して怒り心頭に発し、WADAや仲裁法廷をして”余りにも政治的に過ぎる”と言いたくもなるのである。

 ロシア連邦の競技者本人から、競技関係機関の勧めに因る薬物使用の自供が為され、当該自供に基づく「裏付け」行為に関わる時間が永く掛かり、故に、斯くも、数年と言う期間が必要とされて終い、リオ五輪の間際になって終ったとでも言うのだろうが、其の様なエクスキューズの答弁以前に、ロンドンでのオリンピックで集めた「尿」や、其れ以降の、陸上や室内に限らずの諸々の競技で取り集め、保管すらしている、入賞者等の「尿」検査が、実態として斯くも永く時間が掛かったのであるかを、WADAは詳細をして説明に及ぶ義務が有るもの、基より、保管せし検体である「尿」の、成分等々にまで至る内容を、詳細に分析する能力や検査機械等が在れば、裏付けの為と称する此れほど長期間に亘る時間は必要としなかったであろうし、数日と迄は言わないが、オリンピック競技や世界陸上等に関して言えば、掛かっても半年程度で、全選手の内、金銀銅を含む入賞を果たしたアスリートの全てに関しての「陰性や陽性」の検査結果は出て然るべきもの、今次の様に、リオ五輪の間際になって、ロシア連邦陸上競技申請者の80%は確信犯となる禁止薬物使用者(ドーピング実行者)、ロシア連邦国家総掛かりでの不法行為であって、出すべきではないなる断定は極めて傲慢と言うもの、当該判定に至る時間的経過判断を見れば、ロシア連邦側から見れば、WADAの作為的意図、時間の使い方と見られても致し方無きもの、勿論、リオ五輪に関わるIOCの最終判断が下ったのか、いやっ、未だ下ってはいないのだろう、の何れの判断が正しいのかは分からぬが、よしんば、IOCが未だ判断を下していないのであれば、ロシア連邦からのリオ五輪参加申請者須らくの参加を、瑕疵無し前提に在るとして受け入れ、次の様な条件を付けて全競技に参加させる事では在るのだろう。基より、陸上競技に限らず、室内競技やその他の競技に限らずではある。

 −参加条件ー

1.競技入賞後に取る薬物調査用検体としての「尿」に、陽性反応が出た場合、入賞せし競技参加者自身が失格となるのは当然で在るが、メダルを得た場合も同様に、競技参加者自身は、記録とともにメダルを剥奪されて失格となり、競技者が帰属せし参加国の責任に於いて、受け渡したメダル等を取り上げ、瑕疵無く、速やかに、IOCに返還すべき事を、ロシア連邦は国家として受容し約する。

2.入賞せし競技者が、競技終了後直ちに行われる尿等の検体採取で薬物(使用)反応が出、確認するべくの精密分析でも明確なる禁止薬物が発見された場合、入賞の取り消しは基より、一種目に付き五万ドルの五輪参加違約金を選手個人は支払わなければならない。

 以上の条件を付して、IOCは、ロシア連邦リオ五輪参加を既に決していた選手全員の競技参加を認め、粛々と、且つ、淡々と、五輪祭典への参加を推し進めるべきもの、今般の様な国際的ドーピングに関わるルール(詳細)無き中での国家締め出し等の乱暴なる手法は、世界平和をして甚く疵付けるだけ、賢明なる策とは言えず、隠れし不法行為を見逃すが如きもの、いたちごっこの現状に在るドーピング規制、根源的なルールの設定が望まれる所である。

 <追 記>

 IOC委員(国際社会に散らばる)に拠る電話会談の結果、直前に差し迫ったリオ五輪に於けるロシア連邦選手団の、陸上競技種目の全部を除く条件付き参加を認めるとの公表をした様だが、先に決めていた通り、WADAの裁定を受け容れ、陸上競技全種目を除く(条件付き)とのIOC判断は、遣り過ぎと言うもの、ドーピングに関わる、所謂、薬剤や成分等の諸々の分析結果や使用詳細に関して、未だまだ補足出来ずのデータ不足も無しとせずの中で、また、現状に於いても、後検に因る薬物使用の反応、乃至、禁止薬物使用の検体結果が出れば、入賞等の取り消しも在る中で、陸上競技者全員に最初から犯罪者並みの網を被せて競技参加を封じ込め、出場禁止処分にし、且つ、斯かる犯罪行為は「国家総掛かり」であると言いながら、一方では、今般の判断の様に、室内競技等、所謂、陸上競技以外の五輪種目に関しては参加を認める何ぞの判断と言い分は、決して賢明なる判断などと言えるものでは無い。