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☆異端爺ドゥテルテ、いざ、何処へ!

 此の六月にフィリピン大統領に就任して間もないロドリゴ ドゥテルテは九月五日、ASEAN会議出席のためラオス国の首都ビィエンチャン入りし、6日午後には米国大統領との間に「米比首脳会談」を設営して貰ってもいたのだが、突如、米国側からの首脳会談キャンセル申し渡しが為されたとの事、取り止め理由が何かと言えば、比大統領ドゥテルテに因る、米国オバマ大統領に対する蔑み発言がメディアの前で公言されたからが故のもの、即ち、ドゥテルテ大統領の活躍の地ダバオ市タガログ語)のスラングである、「売春婦の息子」なる意味を持つ言葉を、米国オバマ大統領に対して投げ付け、鞘当てして見せたからであると言われている。

 比大統領ドゥテルテに関して言えば、情報少なき現状には有りながらも、様々な汚い発言や、危ない発言すら、マスメディアに引き出される中で、特に、彼の政治的性格として目立つのは、民主主義には100%従わずにあり、法治主義をも完璧には尊重せずに措く事、従って、理性在る条理下に成熟していないフィリピン国の社会実態に対しては、目には目、歯には歯を以って諸事案に対処、特に、自らの判断せし勧善懲悪を行動理念に据え、自らに与えられし公務の遂行、所謂、責務として課すのみならず、市民に対しても当然に、其の受け容れを求めて良しとする所から、”必殺仕置き人”ならぬ、現代版”悪党の一掃”を、ダバオ市長時には、自警団を設けて遣って退けたと言う事である。基より、必殺仕置き人への関与を全面的に否定してもいるドゥテルテではあるが、比大統領立候補時に記者団に問われた質問には、満更でも無い顔を見せ、ついでに、悪党どもよ!、此れがお前たちにとっての最後の晩餐会になるだろう!、と言い捨てて、大統領選に臨み、当選したと言われてもいるのである。

 ドゥテルテ大統領に因る司法権を一切割愛しては省いた、所謂、直接的私刑関与の実態こそ不明なるも、様々な国際人権団体等に因る調査結果からは、民主主義を受容せぬ狭量なる独裁主義者としての芳しからざるレッテルが、既に、大統領就任以前の彼の仕儀から貼られており、また、当然の事として、アメリカ合衆国からも、民主主義国家に在っては、私刑の選択や黙認は好ましからざる行為であるとして忠告されており、間接的ながら新大統領に就いてからも忠告だけはされていたもの、但し、フィリピンやベトナム等が自国の排他的領域であると主張する、所謂、南沙諸島西沙諸島等に見られる、漢民族中国に因る、軍事的領土侵略、並びに、拡大化政策を阻むべく、米国は、敢えて、比国との協調関係を国際社会に見せ付けるためにも、同諸島をして自国フィリピンの排他的領域にあると主張する、其の比国を支持する必要があり、為に、ドゥテルテ大統領就任後初にする米比首脳会談を、ASEAN会議出席を利用、米比両国政府が会談の場を設定、6日の午後で合意もしていたのである。

 然し、ビィエンチャン入りしたドゥテルテ新大統領に待っていた記者会見での質問は、過去から現状へと続くドゥテルテ大統領の、所謂、私刑に関わる不法行為や違法行為への関与の有無と言う手厳しいもので在り、就中、大統領就任以降もフィリピンに於いて続く、麻薬取引を一とする凶悪犯罪者2000名以上に対する処刑と其の黙認が、(あなたには)取り沙汰されており、其れは事実なのか否かとの問い、また、米比会談時には、米国オバマ大統領からも、斯かる問題が提案されて来るのではないかとの記者質問が為された時に、頭に血が上り、瞬時に気色ばんだドゥテルテ大統領、彼は、記者団に向かって否定したり説明したりをするのでは無く、在ろう事か、反撃の対象をしてオバマ大統領個人に措き、件の、街のチンピラや下衆が頭に来ては吐き付けるのと同様の、汚い言葉を投げ付けて見せると言う、何とも、国家元首として有るまじき前代未聞の恥じっ晒し発言を吐いて見せたのである。勿論、斯かる不法行為の事実が、ドゥテルテ大統領には在っての事ではあったろう。罵詈雑言の発しから時間を措かず、米国政府より比国政府に通告が為され、米比首脳会談の、急遽の中止が通告されたのである。

 会談の中止は当然の事であると言って終えば其れ迄だが、中止の通告を受けて泡を食ったのが誰在ろう、他でもない比国政府を構成する外務大臣等の、所謂、極普通のまともなる、ドゥテルテとともにビィエンチャン入りしていた、閣僚の面々であり、如何に自国の大統領であるドゥテルテが就任後間もなく、外交儀礼やら外交慣例を学び切っては居らずの、知識に疎い人物で在ろうとも、此れほどに酷く、且つ、政治的にも醜い行動しか取れぬ人物が、自国大統領として国際会議に国家元首として参加、其の随行員のトップに己(達)も居ようとは、比国の外務大臣を一とする参加閣僚陣は、此の時ばかりは赤面の至りではあったろう。<ご同情さし上げたい>

 サンダル履きであったかどうかの足もと迄は確認こそしていないが、随行員とともに、ノーネクタイのシャツ一枚で宿泊施設に向かうドゥテルテ大統領、ポケットに両手を突っ込み、首を前に差し出しては目のみを動かして歩く姿はまさにチンピラ風情に見えるもの、齢70を既に越しながら、或いはまた、大学も出て司法権にも身を置き、更には、ダバオ市長職をも務めていながら、其の外形からは、唯々場違いなる雰囲気しか現わし切れないドゥテルテ大統領が浮かび上がるだけ、左すれば、比国の措かれた社会の実状を有姿の侭に映す顔として見ざるを得ずにも在るのだが、前大統領アキノ氏の執政時代を思い返せば、此れ程に酷い状態に在ったとは俄かにこそ信じ難い事でもある。

 エライ人物を、フィリピン国の人々は大統領として選んだものであるわいと断ずる前に、ドゥテルテ大統領の常軌を逸した舌禍が素で、米国大統領オバマと米国政府を甚く不愉快にさせ、結果として、間際に迫っていた米比首脳会談の実施を取り消させて終った、比政府側の条理を以って為す対応には、相当の覚悟が在ったのではないかと、他所事乍らに気掛かりにもなるのである。即ち、比国の外務大臣等が、急遽、釈明等の記者会見まで開き、オバマ大統領に対する舌禍の浴びせ掛けをも否定して見せ、他意の無き事を弁明しても見せ、基より、舌足らずに在ったとして謝罪までして見せたのだが、当該一連の、自国大統領の不始末の揉み消しと言うべきか取り消しとでも言うべきかの”尻拭い”を為し、同時に、後日に於ける大統領直々の謝罪をも窺わせるであろうとの、記者会見に臨んだ外務大臣等に対して、ドゥテルテ大統領の得意とする「私刑に因る粛清」が、帰国せし後には、在るのではないかと心配さえする思いが頭を過ぎるのである。

 国際社会には、未だまだ知られていない国家権力者に因る、目を背けたくたくなる様な独善的仕儀が、有色人種国家群のみならず、白色人種国家群の中にも存在する事は知られた事実だが、民主自由主義を標榜する比国の様に、大統領就任後僅か数ヶ月で、数千名の犯罪容疑者をして、警察官独自の判断で殺処分にしても良いとする、所謂、殺処分の内諾と密命を与え、其れも、記者団に問われれば問われたで、否定も肯定もせず、犯罪者との間に殺すか殺されるかの戦いを続行すると言い続ける有り様は、鬼気迫るドゥテルテ大統領の顔に、異常さを通り越して不気味さを醸し出す狂気性すら嗅ぎ取れるもの、街中と言わず農道と言わず山道と言わずの、其処ら中で殺されては放置されるフィリピン人の哀れなる屍骸を想像すると、同じ有色人種の一人として実に情けなくなり、涙腺すら緩んでも来るのである。

 漢民族の血も混じる、条理を勘違いせしドゥテルテ比国大統領のトゲ有る言葉に、喜ぶのは他でもない、習近平率いる漢民族中国で在る事に疑いの余地は無きもの、自国領土をして真に護りたいのか護りたく無いのかがさっぱり見えて来ずのドゥテルテ大統領、戸惑うのは米国の大統領のみならず、同伴せし比国の政府閣僚である事は言わずもがな、如何に麻薬には手を染めずの閣僚陣とは言え、理性在る条理を以って為す異見を唱える度毎に、己の首を擦らねばならない身の上、針の筵と感じ取るであろう彼等閣僚陣、実に気の毒ではある。

 主題に話を戻せば、一国の大統領に向かい、聞き捨てならない罵詈雑言を浴びせ掛けたドゥテルテ大統領、彼を非難するのは当然としても、更に、悪い事には、過去の米比関係を否定的に捉えて見せ、且つ、其の不合理なる歴史解釈を基に、聞き捨てならない言葉の投げ付けを当然として終ったなる、弁解乃至釈明を以って己の暴言を正当化して見せる何ぞは、一国の元首としては最低の部類に属するもの、彼ドゥテルテは其の様な人物でしか無いと言う事である。而も、米国政府高官から、比国の人権政策に関する疑義や不審が伝達されてはいても、オバマ大統領の口からは、ドゥテルテ批判が直接には為されていない中での、オバマ大統領個人に対する聞き捨てならない言葉を以って為す批判の投げ付けであれば余計に、ドゥテルテ大統領を非難したくなるのも当然、更に言えば、彼を選んだフィリピン国民に対してはお気の毒の言葉しか見付からないのである。

 安倍政権は、オーバーホールした巡視船二隻を、漢民族中国対策の一環として、異端爺ドゥテルテ率いる比国に贈与する事を約束したらしいが、ベトナム国やタイ国とは異なり、今一つ信頼性を欠く権力者を擁立したフィリピン国、杞憂に終われば、とは思う。